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ウルトラセブン第12話


 ひとことでいうならば、単なる駄作です。しかしいくら口を酸っぱくして説明しても、欠番であるというただそれだけの理由により、見たがる人は絶えないことと思います。
 私も友人宅で見ただけなので手元にはないのですが、記憶の限り紹介しましょう。あまりにも駄目な内容だったので、ダビングさせてもらう気にもなれなかったのです。



 女性が貧血で倒れるという事件が続出する。宇宙人の仕業ではないかと疑問に思うウルトラ警備隊。しかし、今のところ証拠は何もない。
 アンヌの友人(女性)の弟が、恰好いい腕時計を友達に見せびらかす。実は姉の持ち物なのだが、デザインがいいので黙って借りていたのだ。しかしこの少年も、貧血で倒れる。(註:今から見るとダサいデザインでしたが、それいっちゃおしまいなのでしょう)
 時計は怪しい人物により回収される。不審に思い、尾行するダンとアンヌ。怪しい人物は、いかにも怪しい家に入っていく。外から見ているダンとアンヌ。家の中には、これまた露骨に怪しい男性数名。見られていることにも気づかず、報告を行う。
 彼らはスペル星人。自らの原子爆弾実験のため、被爆して余命幾ばくもない。治療薬作製のため地球に侵入しているのだ。時計は人間の血液を回収するためのものであった。血液から治療薬を造るのだ。
 治療薬の材料には若い女性の血が必要であった。しかし少年の血は(見ただけで分かるほど)純度が高く、材料には最適であった。彼らは厳かに呟きあう。
 「血だ」
 「血だ」
 「人間の血だ」
 「我々スペル星人は地球人の血で生きていけるのだ」
 「待っていろ、地球人ども。我々は大挙して地球に押し寄せるだろう」
 しかしダンはウルトラセブンに変身して宇宙船を破壊し、スペル星人を皆殺しにする。この戦闘場面、実相寺監督らしくよく分からない止め絵が多用されており、何がなんだか分からないものになっていた。
 地球人も原爆実験を繰り返しているのだから、彼らの行動を見て反省するべきだろう。しかしそのような偽善を差し挟まず、ダンとアンヌは夕日を眺め、その美しさに感動する。ダン=セブンは自分の行為の是非を内省することなく、番組は終わる。もしかしたらアメリカに対する痛烈な皮肉なのかも知れないが、それにしては失敗しているとしかいえない演出であった。



 要するに放っておけば忘れ去られてしまうような失敗作でした。セブンにはノンマルトやギエロン星獣のように地球人が加害者という回があります。その暗い流れの中の一作品と見ることもできるでしょう。しかしそれにしても、失敗作。
 どうしてこの作品が欠番になったかというと、弟が買った雑誌の付録の怪獣下敷きに「スペル星人:別名被爆星人」と書いてあったのを発見したお姉さん(といっても小学生だったそうですけれど)が、よせばいいのに苦情を言ったのだそうです。
 差別とは何かということも分からぬ餓鬼のいうことですが、それでも苦情は苦情です。弱腰であり、反論するだけの理論もない円谷プロは、これを欠番にするという安易な方法で対処したのでした。
 似たような例に、「ちびくろサンボ」を絶版に追い込んだ家族の例があります。地獄への道には善意が敷き詰められているといいます。彼らは自分が善意だと思っていることの結果まで理解する知性も、理解しようとする意志も、理解した内容を受け入れられるだけの度量もないのでしょう。自己満足にすぎません。人は善意ゆえに大量殺人をも実行する、などといっても、こっちが悪者にされてしまうのでしょうね。ま、ここまで鈍感だと人生楽でいいですけど。
 差別論については呉智英先生が「危険な思想家」という大傑作で見事なまでの考察を発表してくださっています。もし興味がある方は、是非ともご一読をお勧めいたします。読まない方が人生楽に生きられるでしょうけれど、こんなところまで読んでいる人なら読まずにはいられないでしょう。

 ところで誰か、島本和彦「逆境ナイン」の第24話がどうゆう内容だったかご存知の方はいらっしゃいませんか? リアルタイムで読んでいたはずなのですが、思い出せないのです。ああ、紺屋の白袴。


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