[PR]100万円が無料で当たる!:今すぐ応募して現金を当てよう!
野望の王国
あるいは法の不可能性
劇画「野望の王国」(由起賢二/雁屋哲)という大傑作マンガがある。
呉智英はこの作品を「バロックなマンガ」と評した。バロックとは歪んだ真珠のことであり、転じて過剰な装飾をこらした様式を示すことばとなった。劇画「野望の王国」は、まさに過剰なマンガである。
若き雁屋哲が己の過剰な思いを全力で書き殴り、由起賢二がそれを未消化のまま筆写する。これはそのまま政治学のサブテキストとしても利用できる。私はまさにそのように読み、また語った。政変あらば、私はまずこの作品を思い出す。二十年も前に描かれたこの作品は神話であり、過去の事象を描きながらも未来に生起する事件に当てはまる構造を持っている。まさにバロック劇画であり、まさにバロックなマンガであった。
あるいは馬鹿なマンガと呼んでもよい。過剰な描写は笑いを産む。ヤクザの組長にいきなり拳銃を乱射し宣戦布告する警察署長。毒を飲まされ飢えと乾きをしのぐために自分の尿を飲む組長。怒りのあまり手掴みで和菓子を貪り柄杓で日本酒をがぶ飲みする巨人。料亭の庭を爆発させ、それを背景に元老に引退を迫る国会議員。それらはあまりに醜悪であり、醜悪であるがゆえにたまらない魅力を放射している。
現在、由起賢二と雁屋哲がどのような作品を発表しているのか、私は知らないし知りたいとも思わない。おそらくこれほどの傑作を描いてしまっては、残されたのは絞り滓ばかりであるだろうからだ。だが、劇画「野望の王国」は間違いなく大傑作であり、人々に語り継がれるであろう。語り継がれねばならない。
本作品は単行本全28巻、愛蔵版全14巻に収録されていたが、残念ながら長らく絶版であり入手は極めて困難であった。聞けば呆れた古書価がついていることもあるという。
幸いにも日本文芸社よりGコミックスとして復刊がなされている。だが刊行ペースから見て完結には3年ほどを要しよう。あるいは中絶する可能性すらある。
そこでここに各巻あらすじを掲載することとした。
巻数は愛蔵版全14巻によった。可能な限り主観を廃し、そこにある事象を採取するように努める。
しかし人よ、もし書店に「野望の王国」あらば、ぜひとも手に取りそして入手して欲しい。作品から放たれる暴力的なオーラは、決して文字だけからは伝わりきらないのだから。(2001.10.2.)
Violence-1 第一巻のあらすじ
あらすじを紹介することは資料提供という意味において、重要であろう。
しかしあらすじは所詮あらすじでしかない。真に伝えるべき事柄の基礎的事実でしかない。
劇画「野望の王国」は多様な読み方のできる作品である。そこで二局面からの解説を加えることによって、この傑作の凄まじさを知っていただきたいと考える。これを知らずして「野望の王国」を理解することはできない。
政治学サブテキストとしての「野望の王国」(工事中)
バロックな劇画としての「野望の王国」
「愉快でカルトな語り部たち」に戻る