2000年11月21日

 風邪が治らないので今日も休暇。
 ということで、寝て過ごす。夢うつつのまま、ミハイルくんからのメールについて考える。といって、ミハイルくんがメガネの美少女と云々、という話ではない。さすがにもうそのネタは飽きてきた。
 「PLの悪口は許容するなり、笑い飛ばすなり度量を持てっつうのが俺的意見」
 とミハイルくんはいう。ミハイルくん自身が確信犯のクレイマーというのもあるのだが、何かの間違いで彼がマスターになったとしても、この信念を貫くだろう。
 つまるところプレイヤーの批評は、大半が印象批評に過ぎない。『文学部唯野教授』で徹底的に批判されたものだ。私だって高度な批評理論に基づいたことはいっていない。おもしろいとかつまらないとか、そんなレベルでは何もいっていないも同然だ。
 おもしろさとは、いくつもの要素が重なり合った結果として生まれる。「ここがおもしろい」という意見に盲従し、その部分を強調した結果として、もとあったおもしろさを台無しにすることはしばしばある。
 また「ここがつまらない」という意見に腹を立て、そのようなことはないと考えたとしよう。ならばということで、つまらないとされた部分をおもしろく書くために、それまで以上の労力を費やすことになるかもしれない。マスターの利用できる資源(紙幅、時間、アイデア、その他)は有限だから、他のものに割り振るべき労力が減少し、却って全体をつまらなくすることもあるだろう。
 それに頑なになれば、それは硬直化であり、容易く破壊される。しなやかに対応するべきだろう。無視する、という反応だってあるのだから。
 だから私の書く悪口は基本的に、もっとおもしろくするにはどうしたらいいかという私なりの提言と、あとは「みっともない真似はするな」ということに貫かれている。
 SETI@homeで、私のパソコンはようやく100ユニットの解析を終了させた。ちなみに野尻抱介さんのグループに、挨拶もなしに参加している。単に野尻さんの『SETI@homeハンドブック』を読んでこのプロジェクトに参加したからだ。他意はない。
 これに参加することのメリットのひとつは、何も作業をしていないときでもパソコンさえ稼働させておけば、何か人類に益したことをしている気分になれることだ。原稿が進まないときなど、実に心が軽くなる。ということで、遅刻マスターはぜひとも参加しよう。ちょっぴり気分が楽になるぞ。


2000年11月22日

 出勤。
 喉の痛みは少なくなったが、頭がふらふらする。それでも事務処理はできる。
 うがいをしていればいいのだが、一日中うがいばかりしているわけにもいかないので、喉飴を舐め続ける。出先で喉飴が切れたので、買い占めてみる。
 昨晩いただいた、とある聡明な女性からのメールについて、考え続ける。実に刺激的な内容で、エンガチョロジーに寄与するところが非常に大きい。エンガチョロジーを精神的な側面ばかりから考えてきたのだが、生物学的な側面から考えるという視点を提供してくれている。異物を受け入れる存在としての女性、か。盲点であった。
 ……あまり露骨に書くと、セクシュアル・ハラスメントになるかもしれないな。
 ともかく生物にとって個体とは何かという問題について、免疫という視点から調べてみることにする。ちょうど山田正紀『デッドソルジャーズ・ライヴ』という傑作に、免疫についての記述があるのだ。
 生物個体について、異物を認識し排除するシステムが免疫だ。これがあるために病原体から身を守ることができる。一方で、輸血ミスによる死亡事故や拒絶反応による臓器移植の失敗が発生する。またエイズなど免疫がうまく作用しなくなる病気がある。
 『デッドソルジャーズ・ライヴ』で問題とされているのは女性が一部の異物を受け入れる作用で、これは免疫寛容と説明されている。作中、これは現代医学でも解明しきれないことだとされているが、そのあたりはどうかと思う。ともかく、その結果として女性は胎内にエイリアンを(と、メールをくれた女性はいう)飼い育てることになるのだが、考えてみれば血液型すら違うことがある存在を許容するというのは驚異的なことだ。
 もちろんその関門としてアンビリカブル・ケーブルが存在することは知っているのだが、生命の神秘とは恐るべきものだという感慨を抱かせるに十分ではないだろうか。
 『デッドソルジャーズ・ライヴ』では異物を許容せず、それどころが異物を送り込む側の免疫機構を破壊する女性「レプタイル」を巡る形で進行する。免疫機構を破壊された男性は、自分自身を異物と認識してしまう。つまり、内部崩壊を起こすのだ。隠喩としてのエピソードを幾重にも繰り返すようにして物語が進むという手法は『最後の敵』や『エイダ』を彷彿とさせ、実に愉しい。
 ところでレプタイルとは爬虫類という意味で、鶏は鳥類だが爬虫類から枝分かれして進化した。そんなことを考えた瞬間、頭の中がアマギンのPBM「数えられない夜の物語」に登場したシ・ゴハに飛んでいた。シ・ゴハとはアラビアンナイトに登場する賢者で、彼の協力を得たマジュヌーン・イブン・ファディル・アル・アーキル・ジャブルは瞬く間にカイロを支配した。問題は当時にあっても変人であったということで、ズボンを履こうとしないというファーザーのような男であったという。でまあこの変態、鶏を可愛がることしきりであったというのだが、この場合の免疫反応はどうなるのだろう。
 そんなことはともかく、カイロといえばエジプト。どうやらエジプト魔術についても調べた方がよさそうだという気がしている。興味があっちこっちに飛ぶ。PBMやってる限り、次に何を読むべきかということで選択幅の狭さを嘆くことはない。ありがたいことだ。
 そして私は風邪引き神子さんに早く寝ろといった手前、22時には床に就くのであった。やあ神子さん、心配してくれてありがとうありがとう。


2000年11月23日

 勤労感謝の日。
 昨日は『デッドソルジャーズ・ライヴ』を読んで過ごした。免疫破壊により体力の衰えた男性が登場する。ダルいときに読むと、なんだか自分まで余命わずかであるような気がしてくる。
 実際にそうであったら、たぶんそれをネタにするが。
 でまあ、出歩く程度には体力は回復しているが、あまり動き回りたくないので読書をして過ごす。
 沼正三『家畜人ヤプー』(太田出版全三巻版)読了。
 学生時代に読んだのと、だいぶ印象が違う。あのときは大学図書館で借りて、スコラ社版で読んだ。たぶん増補改訂されたためだと思うのだが、記述内容がかなり変更されているようなのだ。杉本さんがスコラ版を読んでいるというので、あとで確認しておこう。そしてそれをネタに柳川シナリオへのアクションを作成するのだ。
 免疫について呉智英先生が書評を書いていたような気がしたので、調べる。見当たらなかったのだが、永井豪「ススムちゃん大ショック」の記述に行き当たった。
 これは初期の傑作であって、家族という絆が崩壊した世界を描いている。ある日、一夜にして家族という絆が崩壊する。子供たちは、それまでどおり親に保護されるものだと思っている。大人に保護されるものだと思っている。しかし大人は、子供を殺す対象と考える。にこにこ笑いながら、殺すのだ。警官は子供を射殺し、老人は子供を杖で撲ち殺す。友達はどんどん殺されていく。ススム少年は逃げまどい、そして母を見つける。そうだ、母だけは違う。きっと守ってくれる。そう思って泣きながら駆け寄るススム少年には、母の微笑みしか見えなかった。彼女が振り上げた片手に包丁が握られていることなど、見えるわけがなかった。
 動物行動学の日高敏隆先生は、親の愛情を動物の本能という側面から説明している。それだけではないと信じたいのだが、豊富な実例を見せられると、子供に愛情を持つということさえも本能の奸智ではないかという気がしてくる。
 もちろん、本能であったって構いはしない。問題はそれすらも崩れ欠けているということだ。
 ところで日高先生、いつの間にやら滋賀大学の学長になっていた。学長になるのが出世であるかどうかは、ただし議論が分かれるところだろう。好きな研究の時間を制限されて、煩雑な事務処理や人間関係に付き合わなければならないのだから。特に教員がセクシュアル・ハラスメント騒動など引き起こした日には大変だそうだ。
 先日の研修で聞いたのだが、当該教員をどのように処分するかで学内が真っ二つに割れるのだそうだ。かつて、セクハラという用語がなかった時代、進歩的な弁護士はセクハラをした教員を全力で守った。というのも、馘首される教員を守ることが、当時は進歩的であり正義だったからだ。今では被害者の人権を守ることが進歩的で正義に則ったこととされており、このことからも正義なんてものが恣意的なものにすぎないことが分かる。
 そんな恣意的なものをどう解釈するかについて、議論するのは学者。自説を曲げず押し通す技術を研鑽し続けた人種だ。ある大学では会議また会議で、一年間研究どころではなかったという。……なんか別の意味で滅茶苦茶おもしろいな。当事者でないからいえることだが。
 母が買い物に連れて行けという。割引券が届いたのだ(私名義で)。そして私は座椅子が欲しくて欲しくてたまらない気分。ということで、デパートに。
 座椅子はなかった。あるにはあったが、私の欲しいのは座り心地がよく、軽く、肘掛けがついたものなのだ。ついでに靴を買おうと思ったのだが、私の足は4EまたはFで甲が低い。ややこしい足なので、靴を選ぶのも大変だ。利点は、履きやすくサラリーマンとして相応のものなら、デザインにはあまりこだわらないということくらいか。
 仕方がなく、母の買い物が終わってからCD屋に行き、中島みゆきの新譜「短篇集」を買う。ふと思い出してボブ・ディランの"JOHNWESLEYHARDING"購入。これのの"AllAlongtheWatchtower"を聴きたくなった。理由は単に『デッドソルジャーズ・ライヴ』で重要な役割をしている曲だというだけだ。他意はない。山田正紀はしばしばこうゆうことをする。『ジャグラー』ではニール・セダカの"CalenderGirl"や"LittleDevil"をサブタイトルに使っていたので、ときどき聴いている。エンヤもリバイバルアイバムがあったので買おうかと思ったのだが、どうしても私の頭のなかではエンヤというと両左手のババアなので、やめておいた。というと鮎方くんが本気で怒りそうだ。まあまあ。クレギオン#9の資料を送るので勘弁してくれ。
 「短篇集」は妹が旅行から帰ってきたらいっしょに聴くことにして、"JOHNWESLEYHARDING"を聴きながら作業。エンガチョデータを加工。更新べきデータが少ないので、予定より早く終了。指データの系統化もした方がいいかな。


2000年11月24日

 体調もだいぶよくなり、ドラゴン・オーケストラチャットと神子さんチャットに行く。
 ドラゴン・オーケストラチャットにて、忘年会の開催決定。予定日は12月17日。アマギン会長が関係者にメールすることになった。新宿か池袋で肉でも食うとのこと。肉だ、肉だ。欠食児童のようにがつがつ食うのだ。
 神子さんチャットで、またも「ウォーロック」の話。いやまあ、私も昔は大暴れしたもんだ。今はすっかり大人しくなって、勝ち目のない戦法では戦わなくなった。安田均とのケンカ、やり方次第で勝てていたはずなんだがなあ。まったく、失敗した。若さゆえの過ちとは認めたくないものだ。
 適当に切り上げて寝る。

 夢の中で、アンテデルヴィアンとメトセラの集会に迷い込む。所詮はエルダーたる私には、少しばかり居心地が悪い。
 「あの人も変わったよな。俺が入院したときには、病院でもワープロは打てるね、といってんだぜ。それが遅刻しても、もう怒んなくなったんだよな」
 「煙草の量が増えたね。この仕事についてから吸い始めて、責任ある立場についたら量が倍増した。今じゃ日本で二番目だ」
 「プレイヤーだったころのことが知られたら、住所まで探り出されるよね。で、あなたは何をしていましたか」
 切れ切れのことばが聞こえてくる。
 ひさびさにえらくなった友人に会い、麗しくなった人と談笑していると目が覚めた。

 適当に仕事を切り上げて帰宅。休日の谷間だからというわけでもないだろうが、いろいろと阿呆な事実が判明する。……私のせいじゃないぞ。
 鬼頭莫宏「なるたる」6巻。鬼が大虐殺。疎外されたものの夢、それは復讐。そんな展開。「狂気の方程式3 獣覚醒篇」のレポート作成中に読んでいたら、もろに影響されたかもしれない。復讐だ、復讐だ。復讐だったら復讐だ。復讐とはなんと心躍るものなのでしょう、と疎外された中年サラリーマンは泣きじゃくりながらいった。だがこの復讐は、もはや後戻りできないものだ。自らの手を血塗れにして、殺して、二度と日常に戻れない。そんな復讐だ。
 これで、小学生篇は終わり、か。もう子供には戻れないよな。殺しちまったら。
 植芝理一「ディスコミュニケーション 精霊編」3巻。決めのことばは「行く道一つ唯一つ、これが我らの生きる道」いうまでもなく「勝利だ!アクマイザー3」から。水木一郎が熱唱している。いい曲だよなあ。
 過剰な描き込みを丹念に追っていくだけでも愉しい。これで「ディスコミュニケーション」は完結し、エピソードは「夢使い」へと移る。世界観は同じだ。ただ……「ディスコミュニケーション」冥界篇に入るまでのエピソードに決着がついていないんだが。松笛とは、いったい何者なんだ?
 小池田マヤ「…すぎなレボルーション」4巻。
 まあ、いいや。私はただ「僕のかわいい上司さま」と「すーぱータムタム」を読みたいだけなのだ。すなわちサラリーマンの機微を描いた作品。サラリーマンを慰めるお伽噺が読みたいわけでも、ためになる話を読みたいわけでもないというのが微妙なところ。このあたり、昔の私なら堕落したというだろう。
 真刈信二・赤名修「勇午」15巻。マグダラのマリアのエピソード。
 神秘学から足を洗った男は叫ぶ。「どうして俺が中世神秘学の研究をやめたと思う!? 知れば知るほど物騒だからだ」だがまあ、私くらいのディレッタントなら世の中にごろごろいるので、まあ大丈夫だろう。
 ところで聡明な女性からメールが届いた。イエスのみがマグダラのマリアに接吻した意味について、だ。通常、娼婦は接吻を許さない。それが事実であるかどうかは確かめていないが(何がふつうで何が異常か判明するほどのデータがなければ判断しようがないと、永野のりこのマンガにも描いてある)小説などではそうゆうことになっているようだ。それは肉体だけでなく精神を許した、ということになるのだから。
 そういやこのあたりのことは、筒井康隆『ミラーマンの時間』に書いてあったはずだ。近くは呉智英先生の指摘もある。うーむ、エンガチョの研究はマジで私をどこへ連れていこうというのか。でもって、どうやってこれを17歳の少年・古川春陽というキャラクターの書いたレポートとしてまとめたらいいのか。
 実に挑戦しがいがある。ありすぎる。愉しいなあ。
 ふと思いついてソング・オブ・トリニティ ホワイト・ウィスパーのページを作ってみる。一方でまじめに異端宗教を研究し、一方で異端をでっちあげる。なんというか、怒られそうだよなあ。正道あっての異端ということで、ご勘弁を。


2000年11月25日

 ミハイルくんとだらだらチャット。
 その中で、昔のマスターはもっと堂々としていたのではないか、という話になる。我々が歳をとって、年上だった人々が実は大したことはなかったと分かるようになった……というだけではないような気がする。また、単なる懐旧でもないように思う。そんな話をしながら、では堂々と見せるにはどうしたらいいか、という技術的なことになる。
 ふと、予備校の講師を参考にしてはどうか、と思いつく。私は十数年前に河合塾に通い、何名かの名講師と出会った。彼らは当然、教え方を研究している。それが商売だからといえばそれまでだが、講義は非常にエキサイティングで……これに慣れてしまうと高校の授業や大学の講義では我慢できなくなるほどだ。正規の教員には、確かに学生の指導や事務的なことなど、授業以外にも時間を割かなければならない。給料だって、研究費だって安い。頑張っても増額されることは、まずない。
 だが、受験のための勉強ということに限ってしまうと、大半の高校教師は一流どころの予備校講師の足元にも及ばない。当たり前といえば当たり前で、まあ別に高校教師にも頑張っている人はいるのだし非難したいわけでもないのだが、真似してよい部分は真似した方がいい。
 では具体的にどうしたらよいかというと……せっかくだから、受験テクニックのことも絡めて書いていこう。私はこれを活用することなく、推薦入学で大学に進んでしまったが、技術そのものの価値が損なわれるわけではない。そして実際、大学に入ってから、これは大いに役立ったのだ。
 もっとも、どれだけの高校生がこのページを読んでいるのか不明だが。他の教科はともかく、現代文と漢文は得意だったのだ。えーと、かなり自慢になるレベルで。化学と数学も得意だったが、さすがに使わない知識なのでほとんど忘れた。
 あと、私に学歴コンプレックスを感じるという指摘があったが、実際にあるのだから当然だろう。ないわけがない。あるから他人の学歴コンプレックスに敏感なのだし、自覚しているからふだんはみっともなさが目立たないようにしているのだ。他人を悪くというということは、つまり自分の欠点を全力で告白しているということなのだから。

 もっともっと書いて、書いて、書きまくりたい。読んで、読んで、読みまくりたいと思いつつ、起床。ということで、しばらくチャットには出入りしないことに決定。人間には余裕が必要で、なければすり切れてしまう。だが、余裕は必要があれば他に振り向けられるものだ。
 小池田マヤ「バツイチ30ans」2巻。精神のバランスを崩したときの対処法が、実用的なレベルで描いてある。まず体から、か。なるほど。具体的には指圧とお灸。そして精神科医にかかる。納得。まずくなったら迷わず利用しよう。同年代の人が食事すると吐いてしまうとか、書類を前にすると吐き気がするとか、まあいろいろと大変だと聞いている。
 幸いにも私は力の限り喰って喰って喰いまくってしまうぐらいですんでおり、さらに幸いなことにあまり太らない体質ときている。年に1キログラムほど体重が増えており、そろそろ三十代なので脂肪を貯めやすい体質になるのではないかと思うが、まあ今のところは問題ない。この仕事、この職場であることを感謝しよう。上が詰まっているので、しばらく責任の重い役職には就きそうにないし。
 ふと思い出す。私は、ヒラだ。だが、電話をかけてくる人には、役職を呼びたがる方がいる。
 「石井事務員はいらっしゃいますか」
 まあ、これはいい。なんかバカにされてるような気がするが。
 「石井事務官はいらっしゃいますか」
 これもまあ、いいや。
 「石井事務次官はいらっしゃいますか」
 おいおい。俺もいきなりえらくなったもんだね。えらくなったから、モビルスーツに足を付けろと命令してみようか。
 図書館で免疫学の本を数冊借り出し、家具店に行く。
 滅多に家具店など出入りしないのだが、欲しくなるような家具がいろいろある。家が途方もなく広かったらどれもこれも置きたいものばかりだ。だがまあ、こうゆうお洒落だったり便利だけれど場所を取る家具とは、無縁の生活を送るんだろうな。読書道楽の私には、書庫のある家が望みだ。それだけで、今の住宅事情では十分に贅沢だろう。
 その道楽のために、座椅子を購入。かなりいいものがあった。これで長時間の読書を楽に続けられる。さすがに背もたれと肘掛けなしでは、つらくなってきた。
 帰宅し、読書。白川静『孔子伝』を途中まで読み、出掛ける。電車の中では狩野恭一『免疫学の時代』を読む。読了したが最終章を十分に理解できたとは思えない。妊娠という特例について、もっとよく理解したい。
 そして文京プライベ。
 神子さんに挨拶する。例によって困り眉をした神子さんは、何かを取り出した。
 脅迫状であった。読ませていただき、爆笑する。いや、失礼。でも漢字カタカナ混じりで、笑うしかない代物だ。
 「消印があるから、ある程度まで犯人が絞られますね」
 「でも最初の脅迫状は、消印なしだったんですよ」
 私など、友人に手紙を送ったところ、切手が途中ではがれてしまったことがある。
 「君、うちのポストにツッコミにきたのか」
 「冗談のために神奈川まで出向くほどヒマじゃないです」
 このおぢさん、マジで今は何をしているのだろう。
 ともかく、どうでもいいことをべらべらとしゃべって神子さんを慰めてみる。そして慰めるために、約束しておいた黄色くてかわいいものを取り出す。
 ピカチュウのお面だ。
 「これをどうしろというんですか」
 「かぶるんですよ。さあ、遠慮しなくていいですから」
 「え、遠慮します」
 いやがるのを無理矢理、というのもいいかと思ったが、合意のもとでの方が望ましいのでやめておく。
 snくんが来たので、お面を渡す。
 「これをどうしろというんですか」
 「かぶるんだよ。さあ、早く」
 「遠慮してもいいですか」
 「別にいいけれど、その結果としてどうなっても、私は知らない」
 snくんは、かぶることにしたようだった。私はいい後輩を持った。
 杉本さんが来たので、クシュカ帝国の歴史や地理について、いろいろと検討する。釈迦の生涯が、諸説はあるが紀元前5世紀ごろ。これはほぼ孔子、ソクラテスと重なる。といっても、釈迦と孔子が出逢っていたという可能性はない。
 一方でクシュカ帝国が紀元前6世紀から紀元3世紀ごろ。仏教帝国としてのクシュカと見ると、初期は仏教国であったはずがない。ただ私は仏教について、特に当時の習俗について無知であって、釈迦以前の仏教という可能性を否定できない。これが儒教なら、孔子以前の儒教、原始儒教が存在したと分かっているのだが。
 仏教の伝播について、資料さえあればすぐに分かることについて、いろいろと話し合う。そのうち杉本さんは、史記を持ち出した。その記述について検討し、語り合う。
 「そういえば司馬遷も『家畜人ヤプー』に登場していますよね」
 「え。まだ読んでませんけど、どのあたりですか」
 そこで太田版の3巻を示す。杉本さんの読んでいるのはスコラ版で、私の示した箇所はスコラ版では完結編の収録されている部分であった。西王母アンナ・テラスの性交を覗き見した司馬遷は、その著作の重要性ゆえに殺されることなく、アンナ・テラスは武帝の心理を操作して腐刑に処させる。
 いろいろと密談をして、愉快なアクションを思いつく。よし、次回の時念度は、9だ。それ以外はあり得ない。

 帰宅すると、喝メールが届いていた。
 やる気がむくむく湧いてくる。よし、WWは本気でプレイしてみよう。
 「いまなら〜まだ〜間に合うから〜心を入れ替えて〜」
 武器を捨てるのではなく、きっちり交流してみよう。
 って、もう「マール 降伏勧告のバラード」なんて、どれだけの人が分かることやら。
 ほな、フンドシ締め直していきましょか、とパーやん風に気合いを入れてみる。


2000年11月26日

 日暮れまで本を読んで過ごす。
 聖堂騎士団について杉本さんは、アンデルセン神父がそこに属していたのではないか、といっていた。確認のため平野耕太「ヘルシング」を読む。
 「聖堂騎士(パラディン)」というのは、神父のアダ名であった。それにしても「ヘルシング」は恰好いい。
 『現代思想で読むフランケンシュタイン』を再読し、白川静『孔子伝』に移る。「論語」の原典批判がいかに困難であるかを力説されている。誰が書いたのか、その目的は何か、いつ成立したことばか、そんなことを解明しようとすると、きりがないのだ。
 そしていくつか勘違いしていた。孔子の弟子は死後三年の喪に服し、師の死については沈黙を守っている。それは正しかったのだが、子貢は五年の喪に服したというのは誤りであった。六年だった。天命を受けずして利殖するといわれ、孔子よりも頭がよかったという風評が立ったほどの人物が、六年の喪に服した。それだけで、孔子の人間的魅力の大きさが分かるというものだ。
 「北斗の拳究極解説書 世紀末覇王列伝」を読む。
 一番理不尽な殺され方をしたのは、水を盗んだタキをボウガンで撃った男だと思うんだがなあ。水を盗むのは、この世界にあっては重罪だ。彼は井戸の番人という職務を忠実に果たしたにすぎない。にも関わらずケンシロウは「お前にそんな資格はない」と、脳天を真っ二つに割るのだ。
 WWのページウツロの街にいくつか文章を書く。書いていて愉しいのだが、怒られそうだ。何がマズいって、部分的に正しいということだ。どこからが嘘っぱちなのか混然として明らかでない。
 夜半、妹と中島みゆき「短篇集」を聴きながら、赤石路代「ないしょのハーフムーン」を読む。いや、妹が読めというのだ。
 ……少女マンガに詳しい人よ、教えて欲しい。実は血のつながっていない兄妹がくっつく話ってのは、よくあるのか? インモラルだなあ。
 どうでもいいが、先日、反逆的な噂によって私はSSM(サブ・スタンダード・モラル)に陥った。これというのも私がコミーでミュータントな反逆者であるというデマゴーグが原因なのだが、幸せであるのが市民の義務である以上、私はいま幸せなのでSSMではない。とりあえず反逆的な噂を流したコミーでミュータントな反逆者のクローンナンバーをあげておこう。ZAP! ZAP! ZAP!
 まあそれはともかく、「短篇集」はよかった。「私の子供になりなさい」は暗くて暗くて途方もなく暗くて、そのまま死んでしまいたくなるほどだが死んだら地獄に行くこと確実というアルバムであったが、穏やかな曲が多かった。今夜も安心して眠れそうだ。


2000年11月27日

 "Werewolf:TheApocalypse"の資料を大量にダウンロード。ウツロの街のために必要なのだ。このところ著作権の関係上、いくつかのサイトが閉鎖されているようだし、オフラインで資料を操れるようにしておきたい。
 それにしても……Wyrmと虚って、そっくりだなあ。感心してしまうほどだ。この知識を毒薬のようにまき散らし、妄言溢れるコンテンツを構成していこう。それが虚の尖兵たる我が使命なのだから。

 体調不良のまま出勤。
 そのため、仕事などほとんどしない。ふと思い出して、先日の研修のレポートを書き出す。せっかくだから掲載しておこう。後半はカットしたが、理由は本社の現状についての分析があってマズいからだ。
 とっとと帰宅。
 そして"AllAlongtheWatchtower"をエンドレスで聴きながら柳川アクションを書く。


2000年11月28日

 深夜までかかって、ようやく柳川アクション完成。ひと安心。
 これで明日、ゆっくり福原くんと呑める。

 岩明均「七夕の国」読了。主人公はのび太。
 ものに孔を開ける超能力をもった主人公なのだが、その力が強化されても、それを就職にでも役に立たないか、などと考え続ける。終始のんきであった。そして、そののんきさに救われる。
 孔を開ける力は、ものを消す力になる。それを見て、主人公はこれを何かに役立てようとする。掃除夫のアルバイトを始めるのだ。何かずれているが、それがいい。そして掃除を続けたことで、世の中の、いつもは見逃していることが見えてくる。
 どこで読んだのか忘れてしまったが、釈迦の弟子の話を思い出した。彼は非常に愚かであった。もっとも短い経文も覚えられなかった。釈迦はさらに短い語句を繰り返すようにいうのだが、それさえも覚えることができなかった。そこで釈迦は、一本の箒を与えた。彼は塵を掃き清め、そして心まで掃き清め、ついに悟りを得たという。

 仕事をとっとと切り上げ、帰宅。
 例の場所で待っていると、福原くんがやってきた。しばし夜の街を彷徨い、渋い店に入る。メニューが妙に凝っていて、凝りすぎなので店員も俗称で呼ばないと分からない。千年一日がお茶漬けということは覚えたのだが、あとは忘れた。
 ともかく、乾杯。
 円周率が3になる話から始める。小学校の学習指導要領で円周率を3にしている、というデマゴーグが流れているのだ。概算のときは3に簡略化してもよい、という指導が誤解されたのだが、この話を聞いたときには旧約聖書のファンダメンタリストが騒いだだけかと思っていた。指導要領での有効数字が小数点以下1ケタとなっていることが話をさらにややこしくしているのだが、指導要領では円周率は3.14となっている。これは従来通りであり、いくら簡略化が流行りだからといってこの伝統は変わらない。
 「狂気の方程式3 獣覚醒篇」の内緒話などをして、大笑いする。福原くんは郵便遊戯とは無関係な人生を歩んでおり、私以外とで関係することもないだろう。だから、こうゆう話を安心してできる。
 グラップラー馬場というハンドルネームの人がいるということから、グラップラー・アミバというハンドルネームを思いつく。「サルでもかけるまんが教室」のキャラクターは無駄に立っているとか、「俺の屍を越えていけ」は無駄におもしろいという話を延々とする。
 そして呑んだくれて、我々は帰宅するのであった。
 鮟鱇汁が美味いので、また行こう。


2000年11月29日

 夜明けなる黄金と盟約を取り交わす。リントをゲゲルするのだ。って俺、仮面ライダークウガは観てないんだが。そしてロチャニをベラルゴして、スピタれる。キャグニいかもしれないが気にするものか。

 昼休み、近所の図書館に行く。聖書外典を読みたかったのだが、目的のピリポ福音書、マリア福音書は見つからない。代わりにアダム黙示録があったが、この際これはどうでもいいのであった。それよりも人狼黙示録を読まねば。
 チーフの仕事を手伝い、とっとと帰宅。
 S∴O∴T∴の資料として『蛆の書』入手。いくらなんでも480円(税別)で買えるとは思わなかった。人狼黙示録の参考書だ。これをコンピュータ解析して読む。有坂純の夜叉姫伝説シリーズ第一弾「黄昏の天使」に記されたルールによれば、魔術書を解析することで読解可能性を高めることができるということになっていた。まして今やコンピュータは呆れるほど高性能になっている。必要なアプリケーションもある。問題はない。
 そういえばシリーズ第二弾「ローレライ・パルティータ」だが、早く出して欲しいというと「君がやってみるか」といわれるそうだ。これはペンネームをもっとも変えたといわれるマスターがその耳で聞き、間に一人を介して私が知り得たことだが、本当かどうかは知らない。
 解析作業をしながら、入手済みの黙示録資料を読む。S∴O∴T∴の世界設定が、人狼黙示録に基づくものであると再認識。これまでは血族仮面劇の側面ばかり見ていた。血族も大地に仇なす者とされていたので、これも蛆の一種かと考えていた。なるほど、違うのか。
 本日は第一章まで解析。明日は第二章だ。
 なんだか今日の日記は特殊用語だらけになってしまった。まあ、いいか。


2000年11月30日

 「蛆の書」解析したはいいが、解析前段階の処理があまかったらしく、意味不明な部分が何ヶ所もある。仕方がない。もう少し手間をかけて、ゆっくりと解析していこう。
 ちなみに私のもっている「蛆の書」は不完全版で、増補された版では蛆と血族との関係などにまで踏み込まれているとのこと。こちらの解析が終わったら、そちらも調べてみよう。

 チーフの仕事を手伝う。
 どのくらいかというと、ひと箱ほど。これだけで一日つぶれるほどだ。意志決定はチーフにまかせて、こちらはひたすら入力入力入力、ゴム印ゴム印ゴム印、チェックチェックチェックだ。意志決定部分がもっともおもしろいのだが、そこまでやるのは手伝いの分を越える、とタヌキっぽくいってみる。
 それはそうと昼飯とジュース、ごちそうさまでした。
 とっとと帰宅。私自身は、あまり仕事がない。片っ端から片付けて、ためていないのだ。いわば画面に出てくる前に倒すゲームセンターあらし技法。
 『マグダラとヨハネのミステリー』再読。やはり、トンデモっぽい。だがここに示されたいくつかの指摘は重要だ。もっと資料を調べて、肯定なり否定なりができるようになりたい。そこまでの余裕、あるかなあ。
 重要な指摘とは、どうしてキリスト教でなければならなかったのか、ということだ。当時、自称キリストは何人もいた。キリストとはクリストス、塗油されたもの、という意味でしかない。これに救世主という意味を付与したとしても、自称救世主はいくらでもいた。影響力のある宗教的指導者だって何人もいた。洗礼者ヨハネもそのひとりだ。
 もちろん、キリスト教が存在することには、意味がある。今の信者にとっては意味がある。だがそれは結果であって、原因ではない。どうしてキリスト教が必要とされたのか、あるいは需要を創り出したのか、それが分からない。『マグダラとヨハネのミステリー』はそれを一種の陰謀論に求めており、だから安易に与したくない。
 キリスト教が世界宗教となったように、神道を世界宗教に改革することはできないか。以前、浅羽さんと飲んでいたときに、そんな話が出た。改革する意味はいろいろあるが、それは必要とされるものだろうか。千年後、結果として感謝する人はでるかもしれないのだけれど。
 などと書いていると私までネゴシエイターのように拷問椅子の毒で生きながら墓に埋められてしまうかもしれない。剣呑剣呑。まあ、そのときには鋼鉄の乙女が助けにきてくれるから大丈夫だろうけれど。
 帰宅すると、まだS∴O∴T∴のリアクションは届いていなかった。

 ……失敬。届いていました。届いていたんですよ本当ですってば。うひょー、さすが白川マスター、キャラクターの描写がイカしてます。イカレてます。ステキ。ということで、三日間待ってください。電子化して配布します。
 似たようなことを前にもやっただろアンタという噂がありますが、噂は反逆ですよ市民。
 とりあえず今日はウツロの街のために文章を書いてすごす。


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